「老後2,000万円問題」や「物価上昇」「年金制度の不安」など、将来のお金に対する不安は年齢を問わず誰もが抱える問題です。貯金だけではお金はなかなか増えず、かといって株や仮想通貨などのリスクが高そうな投資は怖い…。そんな方にこそおすすめなのが、「投資信託(投信)」です。
投資信託は、プロが運用してくれる金融商品であり、少額から始められ、分散投資によるリスク軽減効果も期待できます。最近では、NISA(少額投資非課税制度)などの税制優遇制度もあり、ますます注目されています。
この記事では、「投資信託とはなにか?」「どうやって始めるのか?」「メリット・デメリットは?」といった投資未経験の方が抱える疑問に対して、わかりやすく・具体的に解説していきます。
今回の記事はこんな方にオススメ
- 投資初心者の人
- 投信信託について知りたい人
目次
1. 投資信託とは?仕組みと基本をやさしく解説
「投資信託(ファンド)」とは、簡単にいうと多くの人からお金を集めて、プロが代わりに株や債券に投資してくれる仕組みです。
①投資信託の基本的な仕組み
- 投資家が投資信託を購入する
- 運用会社(ファンドマネージャー)がそのお金を元に株式や債券などに投資
- 運用によって得た利益を投資家に分配(または再投資)
つまり、自分で銘柄選びや売買のタイミングを考えなくても、プロが運用してくれるのが最大の特徴です。
②なぜ初心者に向いているのか?
- 少額から始められる(100円~1,000円程度からOK)
- 自動で分散投資ができる
- 専門知識がなくてもOK
- 長期的な資産形成に適している
こうした特徴から、投資信託は「初心者でも始めやすい資産運用」として支持されています。
2. 投資信託のメリットとデメリット
投資信託は初心者でも始めやすい金融商品ですが、良い面(メリット)と注意すべき点(デメリット)の両方を理解することが大切です。
- 投資信託のメリット
- 少額から始められる
投資信託は100円や1,000円といった少額から購入が可能です。まとまった資金がなくてもスタートできるのが、投資初心者にとって大きな魅力です。
- 分散投資でリスクを抑えられる
1つの投資信託の中に複数の株式や債券などが組み込まれているため、1つの企業の株だけに投資するよりもリスクが分散されます。
- プロが運用してくれる
投資信託は、運用のプロである「ファンドマネージャー」が運用方針を立てて投資を行ってくれるので、専門的な知識がなくても安心して資産を預けることができます。
- 手間がかからない
株式のように売買タイミングを頻繁に考える必要がなく、自動積立設定をすれば完全放置でも運用が続けられます。
- NISAやiDeCoなどの制度と相性がよい
後述しますが、税制優遇制度との相性が非常に良いため、節税しながら資産運用が可能です。
- 投資信託のデメリット
- 元本保証がない
投資信託は預金とは異なり、元本保証はありません。市場の状況によっては元本割れするリスクもあります。
- 手数料がかかる
購入時や保有中に購入手数料・信託報酬(運用管理費用)がかかります。とくにアクティブ型投資信託は手数料が高めになる傾向があります。
- 即時売買ができない
株のようにリアルタイムで取引されるわけではなく、注文から売買が成立するまでにタイムラグがあります(通常1~2営業日)。
- 商品が多すぎて選ぶのが大変
日本だけでも数千本の投資信託が存在するため、どれを選べばいいのかわからないという悩みもよくあります。
3. 投資信託の種類(インデックス型とアクティブ型など)
投資信託にはいくつかの種類がありますが、最も大きな分類は「インデックス型」と「アクティブ型」です。
①インデックス型投資信託
日経平均株価やS&P500など、特定の指数(インデックス)に連動するように設計された投資信託です。
特徴
- 比較的手数料が低い
- 長期投資向き
- 市場平均と同じパフォーマンスを目指す
代表的なインデックス
- 日経225(日本株)
- TOPIX(日本株)
- S&P500(米国株)
- MSCIコクサイ(先進国株)
インデックス投資は積立NISAの対象商品にも多く含まれており、安定した運用を目指す初心者に人気です。
②アクティブ型投資信託
インデックスを上回る運用成果(α)を目指して、ファンドマネージャーが銘柄を選定して運用するタイプです。
特徴
- リターンが高い可能性もある(反面、下振れも)
- 手数料はやや高め
- 運用成績はファンドマネージャーの腕に依存
注意点
一部のアクティブファンドでは、長期的に見るとインデックスファンドよりパフォーマンスが劣るケースもあり、選ぶ際の見極めが重要になります。
- その他の分類(投資対象ごと)
- 株式型投資信託:国内・海外の株式に投資
- 債券型投資信託:国債や社債などに投資
- バランス型投資信託:株式・債券・REITなどをバランスよく配分
- REIT型投資信託:不動産に投資するリート(不動産投資信託)
4. 投資信託の購入方法(証券口座・積立・ロボアドなど)
投資信託は銀行や証券会社、ネット証券、ロボアドバイザーなど、さまざまな方法で購入できます。ここでは代表的な購入方法を解説します。
①証券口座を使って購入する(ネット証券・対面証券)
もっとも一般的な購入方法は、証券口座を開設して、自分で投資信託を選んで購入する方法です。
【ネット証券(例:SBI証券・楽天証券・マネックス証券など)】
- 取扱商品数が非常に豊富
- 手数料が安く、使いやすいサイト設計
- 積立NISAやクレジットカード積立にも対応
【対面型証券(例:野村證券・大和証券など)】
- 担当者がついてアドバイスがもらえる反面、手数料が高め
- 商品ラインナップはネット証券より少ない傾向
②銀行・ゆうちょで購入する
銀行窓口でも投資信託を購入することができます。ただし、手数料が高く、選べる商品が限られていることが多いため、慎重に選ぶ必要があります。
③自動積立を利用する
投資信託は毎月決まった金額を自動で積み立てる「投信積立」が可能です。
月1,000円や5,000円など、少額から始められてコツコツと長期投資に向いています。
特にネット証券では、
- クレジットカードで積立ができる
- ポイントが貯まる(楽天ポイント、Tポイントなど)
といった特典があり、初心者にも人気です。
④ロボアドバイザーを使う
最近は、AIやアルゴリズムがあなたのリスク許容度に応じて投資信託を自動で選んでくれるロボアドバイザー(通称:ロボアド)も登場しています。
代表的なロボアドサービス
- WealthNavi(ウェルスナビ)
- THEO(テオ)
- FOLIO ROBO PRO(フォリオ ロボプロ)
特徴
- 資産配分から購入・積立・リバランスまですべて自動
- 投資知識がなくてもOK
- 手数料はやや高め(1%前後)
5. 投資信託とNISA・iDeCoなどの税制優遇制度
投資信託を活用するなら、税制優遇制度との併用が非常に効果的です。ここでは、主に「つみたてNISA」「一般NISA」「iDeCo」の3つを紹介します。
①つみたてNISAとは?
年間40万円までの投資に対し、最長20年間にわたって運用益が非課税になる制度です。
金融庁が厳選した低コストで長期運用に適した投資信託のみが対象となっています。
メリット
- 運用益・分配金が非課税
- 投資信託初心者でも選びやすい
- 少額(月100円~)からスタート可能
対象者
- 日本在住の20歳以上(新制度では18歳以上)
②一般NISA(2024年から新NISAへ)
つみたてNISAと併用できない制度で、年間の非課税投資枠がより大きいのが特徴です。
新NISAのポイント(2024年から)
- 成長投資枠(240万円/年)とつみたて投資枠(120万円/年)の併用可能
- 最大1,800万円までの非課税投資が可能
- 投資信託だけでなく、株式やETFなどにも対応
③iDeCo(個人型確定拠出年金)
老後資金の準備に特化した制度で、掛金が全額所得控除され、節税効果が非常に高いのが特徴です。
特徴
- 掛金が全額所得控除
- 運用益も非課税
- 受け取り時にも控除あり(退職所得控除または年金控除)
注意点
- 原則60歳まで引き出せない
- 所得がない人や収入の少ない人には節税メリットが小さい場合も
このように、投資信託はNISAやiDeCoなどの制度を活用することで、より効率的に資産を増やすことが可能です。
6. 他の金融商品との違い(株式・債券・預金・ETFとの比較)
投資信託は資産運用の選択肢の一つですが、他にも株式や債券、預金、ETF(上場投資信託)などがあります。それぞれ特徴やリスク、手間が異なるため、違いを理解して自分に合った投資を選ぶことが重要です。
①株式との違い
- 投資信託は複数の株式や債券に分散投資されているのに対し、株式は単一企業の株を直接購入します。
- 株式は値動きが大きく、短期間で大きな利益を狙える反面、リスクも高いです。
- 投資信託は専門家が運用を行い、リスク分散されているため、初心者に向いています。
- 株式は配当金が直接受け取れますが、投資信託は分配金として受け取ることが一般的です。
②債券との違い
- 債券は国や企業が発行する借金の証書で、満期まで保有すると元本が戻る仕組みです。
- 債券は株式よりリスクが低いですが、投資信託は債券を組み入れることでリスク分散を図れます。
- 債券を単独で買うよりも、投資信託で複数の債券や株式を一緒に運用する方がリスク分散効果が高まります。
③預金との違い
- 預金は元本保証があり、リスクはほぼありませんが、金利が非常に低いため資産はほとんど増えません。
- 投資信託は元本保証はなくリスクがありますが、長期的には預金より資産を増やせる可能性があります。
- 預金はすぐに現金化できるのに対し、投資信託は売却に数日かかる場合があります。
④ETF(上場投資信託)との違い
- ETFは証券取引所に上場している投資信託で、株式のようにリアルタイムで売買できます。
- 投資信託は通常1日1回の基準価額で取引されますが、ETFは市場価格でリアルタイムに取引可能です。
- ETFは手数料が低い傾向にありますが、取引の際に売買手数料がかかる場合があります。
- ETFは株式と同じように証券口座で取引でき、投資信託よりも流動性が高いのが特徴です。
7. 投資信託のリスクと注意点
投資信託にはメリットが多い一方で、いくつかのリスクと注意点も理解しておく必要があります。
①市場リスク(価格変動リスク)
- 投資信託は株式や債券などの値動きに連動するため、市場の変動によって価格が上下します。
- そのため、元本割れのリスクがあります。特に短期的な値動きに注意が必要です。
②信用リスク
- 運用している会社や投資先の企業が破綻した場合、資産価値が大きく下がる可能性があります。
③為替リスク
- 海外資産に投資する投資信託では、為替変動の影響を受けることがあります。
- 為替レートの変動により、円建てでのリターンが増減します。
④流動性リスク
- 投資信託の中には換金がすぐにできないものや、売却に時間がかかるものがあります。
- 急な資金需要がある場合には注意が必要です。
⑤手数料に関する注意
- 購入時手数料、信託報酬(運用管理費用)、解約手数料などがかかる場合があります。
- 長期保有の場合、手数料が運用成績に大きく影響するため、低コストの商品の選択が重要です。
8. 初心者が失敗しない投資信託の選び方
はじめて投資信託を選ぶ際に気をつけたいポイントを解説します。
①運用目的を明確にする
- 何のために投資するのか(老後資金、教育資金、資産形成など)をはっきりさせましょう。
②投資スタイルに合った種類を選ぶ
- 安定重視ならバランス型や債券型
- リターン重視なら株式型やアクティブ型
③手数料の低さを確認する
- 信託報酬が高いと長期的な運用成果が悪くなるので、なるべく低コストの商品を選びましょう。
④運用実績と運用会社の信頼性をチェック
- 過去の成績だけでなく、運用方針や会社の信頼性も大切です。
⑤NISAやつみたてNISA対象商品を活用
- 税制優遇を利用し、効率よく資産形成しましょう。
⑥長期積立を基本にする
- 市場の変動に一喜一憂せず、長期間コツコツ積み立てることが成功のカギです。
9. よくある質問(Q&A)
Q1. 投資信託はいくらから始められますか?
A.100円や1,000円程度から始められる商品が多いです。ネット証券ではさらに少額から始められる積立もあります。
Q2. 投資信託は元本保証ですか?
A.いいえ、元本保証はありません。市場の変動により元本割れするリスクがあります。
Q3. 投資信託の利益には税金がかかりますか?
A.はい、基本的には利益に約20%の税金がかかりますが、NISAやiDeCoなどの制度を利用すると非課税になります。
Q4. どの投資信託を選べばいいかわかりません。
A.まずはインデックス型のつみたてNISA対象商品から始めるのがおすすめです。リスクを抑えつつ長期運用に適しています。
Q5. 投資信託はどうやって売却できますか?
A.証券会社の口座からいつでも売却可能ですが、注文後、売却代金の受け取りまでに数日かかる場合があります。
10. まとめ:投資信託で将来のお金の不安をなくそう
投資信託は、少額から専門家に運用を任せられ、分散投資でリスクを抑えながら資産形成ができる金融商品です。
初心者でも始めやすく、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度と組み合わせることで、効率的な資産運用が可能です。
一方で、元本保証はなく手数料もかかるため、しっかりと商品の特徴やリスクを理解したうえで、自分に合った投資信託を選ぶことが重要です。
将来の資産形成やお金の不安解消のために、まずは少額からコツコツと投資信託を始めてみましょう。