Uncategorized

信用取引の追証とは?リスクと対策を徹底解説【初心者・中級者必見の実例付きガイド】

信用取引は、少ない資金で大きな取引ができる魅力的な投資手法ですが、その分リスクも大きくなります。中でも注意すべきなのが「追証(追加保証金)」の存在です。追証は、相場の急変などによって証券会社から追加の入金を求められる仕組みで、対応を誤ると強制決済や損失拡大の原因となりかねません。

本記事では、信用取引のリスク管理に欠かせない「追証」について、仕組みから具体的な計算方法、発生する典型的なケース、そして回避するための対策まで詳しく解説します。これから信用取引を始める方は追証に対する理解を深め、万全なリスク管理で安定した取引を目指しましょう。

今回の記事はこんな方にオススメ

  • 信用取引をしている人もしくは始めようと思っている人
  • 追証の仕組みを知りたい人

 

1. 信用取引とは?リスクとリターンの基本

信用取引とは、証券会社からお金や株式を借りて売買を行う取引方法です。手元資金の約3倍の取引が可能になるため、うまく使えば効率的に利益を上げることができます。一方で、相場が思惑と逆に動いた場合は損失も拡大しやすく、リスク管理が非常に重要です。

信用取引には主に次の2つのパターンがあります。

  • 買建(かいだて):証券会社から資金を借りて株式を購入し、値上がり後に売却して差益を得る取引
  • 売建(うりだて/空売り):株式を借りて先に売却し、値下がり後に買い戻して差益を得る取引

信用取引は現物取引と異なり、担保として「委託保証金」を預ける必要があります。相場が大きく動いた際、この保証金が一定水準を下回ると「追証(追加保証金)」が発生するのです。

追証は、信用取引の中でも特に注意すべきリスクの一つです。発生すると、一定期間内に資金を追加で入金しなければならず、対応できなければ建玉の強制決済(ロスカット)につながります。

 

2. 追証(おいしょう)とは?その定義と発生の仕組み

「追証(おいしょう)」とは、「追加保証金」の略称で、信用取引で預けている保証金が、一定の維持率(証拠金維持率)を下回った際に証券会社から請求される追加の資金のことです。

 

▶追証が発生する仕組み

信用取引では、建玉(ポジション)の損益によって、証拠金の価値が変動します。相場が予想と逆に動いて損失が膨らむと、証拠金が減少し、証券会社が定める「最低保証金維持率(通常は20〜30%)」を下回ることがあります。この時、追加で保証金の入金を求められるのが追証です。

証券会社が追証を請求する理由は、投資家が証券会社から借りた資金や株式で大きな損失を出した場合、その損失が回収できなくなるリスクを避けるためです。

 

3. 追証の計算方法

追証が発生するかどうかの判断基準となるのが「証拠金維持率」です。これは、あなたが預けた保証金に対して、現在の建玉(ポジション)の損益状況がどれくらい健全かを示す指標です。

 

▶証拠金維持率とは?

証拠金維持率は、次のように計算されます。

証拠金維持率(%)=【現在の資産の合計(評価額)÷建玉の時価総額】×100

 

より具体的に言うと次のような計算です。

証拠金維持率(%)=【(保証金+評価損益)÷建玉の時価(現在の株価×保有株数)】×100

 

▶具体例で解説(買建のケース)

たとえば、あなたが次のような信用買いをしたとします:

  • 建玉:A社株を100万円分購入(信用取引)
  • 保証金として:30万円を預け入れた
  • 株価が値下がりし、建玉の評価額が80万円になった

このとき、評価損は20万円です。
よって現在の保証金の評価は次のように計算されます。

  • 保証金 30万円 − 評価損 20万円 = 10万円

10万円÷80万円×100=12.5

→ 証券会社が定める維持率(例:30%)を大きく下回っているため、「追証」が発生します。

 

▶ポイントまとめ

  • 建玉の価値(株価)が下がると評価損が増える
  • 評価損が保証金を圧迫し、証拠金維持率が低下する
  • 一定の維持率(例:30%)を下回ると追証が請求される

このように、証拠金維持率は「今の建玉に対して、保証金がどれだけ余裕があるか」を示す重要な指標です。こまめにチェックし、相場変動時には素早く対応できるようにしておくことが、追証回避の第一歩です。

 

4. 追証が発生する主な原因と注意点

追証は、以下のような状況で発生しやすくなります。

 

①急激な株価下落

決算や不祥事、経済指標の発表などで急落が起きると、評価損が一気に拡大し、保証金維持率が大きく低下します。

 

②レバレッジのかけすぎ

必要以上に大きな建玉を抱えると、少しの下落でも維持率が下がりやすくなります。

 

③空売り時の株不足・逆日歩

売建では、株式を借りられなくなった場合や逆日歩(貸株料)が高騰することで、思わぬコスト増に繋がることがあります。

 

④保証金の現金比率不足

保証金に株式を使っている場合、評価損によって保証金自体の価値が減り、追証が発生しやすくなります。

 

5. 追証が発生したらどうなる?対処法と選択肢

追証が発生した場合、対応しなければなりません。主な選択肢は以下の通りです。

 

①追加入金

請求された金額を期日までに入金します。これにより維持率が回復し、建玉は維持できます。

 

②建玉の一部決済

保有ポジションの一部を決済し、評価損を減らすことで追証の解消を目指します。

 

③強制決済(ロスカット)

期日までに追証に対応しないと、証券会社によってすべての建玉が強制的に決済されることがあります。

 

④信用口座凍結・取引制限

度重なる追証未対応などにより、口座が凍結されたり、信用取引自体ができなくなる可能性もあります

 

6. 追証を回避するための5つのリスク管理術

追証を完全に避けることはできませんが、リスクを抑えるために実践できる方法は数多くあります。ここでは、信用取引で追証を防ぐために有効な5つのリスク管理術を紹介します。

 

①余裕を持った保証金設定

信用取引の魅力は少ない元手で大きな取引ができる点にありますが、それに頼りすぎるのは危険です。証券会社の必要最低保証金だけに頼らず、余裕を持った資金を口座に入れておくことで、急な値動きにも耐えられます。

 

②レバレッジをかけすぎない

信用取引では最大で約3倍までのレバレッジをかけられますが、これはリスクの裏返しでもあります。相場が逆に動いたときの損失も大きくなるため、初心者や安定志向の投資家は1.5倍程度にとどめておくとよいでしょう。

 

③分散投資を意識する

1つの銘柄に集中投資すると、予想外の下落で一気に評価損が膨らみ、追証につながるリスクが高まります。複数の銘柄に分散して投資することでリスクを分散でき、追証発生の可能性も低減します。

 

④ストップロス(損切り)ルールを設定する

感情に左右されず、機械的に損切りできるルールをあらかじめ決めておくことが大切です。「〇%下落したら売却する」「〇円を下回ったら手仕舞う」など、明確な基準を設けておくことで、評価損の拡大を未然に防げます。

 

⑤市場急変時の対応力を高める

大きなニュースや地政学的リスクによって相場が急変する場合、追証リスクが高まります。夜間取引(PTS)を活用したり、前日に資金を余分に入れておくなど、万が一に備えた体制を整えておくことも重要です。

 

7. 実際に起きた追証の事例

実際に追証が発生した事例から学ぶことは多くあります。ここではよくある3つのケースを紹介します。

 

事例1:2020年コロナショックでの急落

2020年2月下旬、世界的な株式市場が新型コロナウイルスの影響で暴落しました。この時、多くの投資家が信用買いで含み損を抱え、追証が相次ぎました。特に、高値圏で買い建てしていた人ほど被害が大きく、強制ロスカットとなったケースも多数報告されました。

 

事例2:新興株の急変動による損失拡大

成長期待の高い新興銘柄に信用買いを集中させていた投資家が、業績下方修正のニュースを受けて株価が急落。わずか1日で保証金維持率を割り込み、追証発生に至りました。翌日までに資金を用意できず、強制決済され損失が確定したとのことです。

 

事例3:損切りをためらって追証地獄に

含み損が出たときに「戻るかもしれない」と思って損切りをためらった結果、評価損がさらに拡大。追証発生後にも資金を追加投入して耐え続けたが、結果的に相場は戻らず、すべての建玉が強制決済されてしまったという悲劇もあります。

 

8. 信用取引と追証に関するよくある誤解

信用取引や追証に関しては、多くの誤解が存在します。正しく理解してリスク管理を行うためにも、代表的な誤解をいくつか紹介します。

 

誤解1:「追証は怖いから信用取引はやめたほうがいい」

→ 追証は適切に管理すれば避けることが可能です。怖がるだけでなく、知識を身につけてリスクをコントロールすれば、信用取引は有効な手段となります。

 

誤解2:「損切りすれば追証は発生しない」

→ 一部正しいですが、損切りが遅れたり、急落で損切り注文が通らなかった場合は追証につながることもあります。損切りルールだけでは不十分で、資金管理も重要です。

 

誤解3:「現金をたくさん入れておけば追証は起きない」

→ 評価損が建玉の時価総額に対して大きくなれば、どれだけ現金を入れていても追証が発生することがあります。建玉の大きさを見直すことも重要です。

 

9. 各証券会社の追証ルール比較

証券会社ごとに、追証の発生条件や対応ルールには違いがあります。主要ネット証券の特徴を簡単にまとめます。

証券会社保証金維持率追証通知時間追証対応期限強制決済条件
SBI証券30%翌営業日の朝翌営業日14時半まで対応不可の場合、即日強制決済あり
楽天証券30%当日夜間または翌朝翌営業日15時までロスカットルールあり
松井証券30%当日17時以降翌営業日15時まで一部建玉から強制決済
auカブコム30%翌営業日の午前中翌営業日15時まで強制決済・取引制限あり

証券会社ごとの違いを理解し、自分の取引スタイルに合った口座を選ぶこともリスク管理の一環です。

 

10. 信用取引に向いている人・向かない人の特徴

信用取引は非常に強力な投資手法ですが、すべての人に向いているとは限りません。ここでは、信用取引に向いている人と向いていない人の特徴を比較して解説します。

 

▶信用取引に向いている人の特徴

  • 損切りのルールを守れる人
    自分で決めた損切りラインを厳守できる人は、損失の拡大や追証リスクを最小限に抑えられます。
  • 相場を冷静に見られる人
    感情に流されず、計画的に建玉を操作できる冷静な判断力が求められます。
  • リスク管理ができる人
    建玉サイズ、レバレッジ、保証金の余力を意識しながら慎重に取引できることが重要です。
  • 短期売買の戦略を持っている人
    信用取引は返済期限があるため、中長期保有より短期トレードに向いています。明確な戦略を持つことが鍵となります。

 

▶信用取引に向いていない人の特徴

  • 損失が出るとパニックになる人
    相場の動揺に振り回されると、冷静な判断ができず損失が膨らみやすくなります。
  • レバレッジを過信する人
    資金管理の重要性を理解せず、目先の利益に目を奪われていると、追証や強制決済のリスクが高まります。
  • 生活資金で投資をしている人
    生活資金や急な出費に備えるお金を信用取引に使うのは非常に危険です。想定外の損失に耐えられず、資金ショートに陥る可能性があります。
  • 相場の基礎知識が乏しい人
    テクニカル分析やファンダメンタル分析を知らずに取引すると、無防備な状態でリスクに晒されます。

信用取引は、正しい知識と自律した判断力を持っていれば、非常に有効なツールになります。自分の性格や投資スタイルを見極めたうえで利用することが大切です。

 

11. まとめ

本記事では、信用取引における追証(おいしょう)の仕組みや発生条件、計算方法から、実際の事例、回避策、そして証券会社ごとの違いまで、包括的に解説してきました。

追証とは、「信用取引で預けた保証金が不足したときに発生する追加の入金義務」であり、損失を拡大させないための重要なリスク管理要素です。

追証が発生する原因の多くは、レバレッジのかけすぎや、相場の急変に対する備えの不足です。事前にリスクを認識し、以下のような対策を講じておくことで、追証を防ぎ、信用取引を安全に活用することができます。

  • 建玉サイズやレバレッジを抑える
  • 損切りルールを徹底する
  • 分散投資や資金管理を徹底する
  • 余裕資金で取引を行う

また、証券会社ごとのルールを把握し、自分に合った環境で取引することもリスク回避に大いに役立ちます。

 

▶終わりに

信用取引は、正しく活用すれば資産形成を加速させる強力な武器となります。しかし、その反面、仕組みを理解しないまま取引を始めると、追証や強制決済といったリスクにさらされ、最悪の場合は退場に追い込まれることもあります。

「追証は怖い」と敬遠するのではなく、「追証の仕組みを知ってリスク管理できる」ことこそが、信用取引を活かす第一歩です。

知識と準備をもって、信用取引をより安全に、そして効率的に活用していきましょう。

基氏

35歳|投資歴5年|主に株式投資を行っており不労所得を増やすために継続中|株式投資に関する情報を中心に発信していきます

基氏

35歳|投資歴5年|主に株式投資を行っており不労所得を増やすために継続中|株式投資に関する情報を中心に発信していきます

-Uncategorized