資産運用を始めたいと考えたとき、多くの人が「投資信託」と「ETF(上場投資信託)」のどちらを選べばいいか迷います。どちらも複数の銘柄に分散投資ができるという点で似ていますが、仕組みや取引方法、手数料、税金の扱いなどに違いがあります。
この記事では、投資初心者の方に向けて投資信託とETFの違いをわかりやすく解説します。
今回の記事はこんな方にオススメ
- 投資信託とETFの違いを知りたい人
- どちらに投資しようか悩んでいる人
目次
1. 投資信託とは?
▶投資信託の基本的な仕組み
投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつにまとめて、プロの運用会社(ファンドマネージャー)が株式や債券などに分散投資する金融商品です。
投資家はその運用成果に応じて、分配金を受け取ったり、投資信託の基準価額が上昇すれば値上がり益を得たりできます。少額から始められ、自動積立も可能なため初心者に人気です。
▶投資信託の種類
- アクティブ型:市場平均を上回るリターンを目指して積極的に運用するタイプ
- インデックス型:日経平均株価やS&P500などの指数と同じ動きを目指す運用タイプ
▶向いている人
- 毎月コツコツ積み立てたい人
- 運用をプロに任せたい人
- 長期的に資産形成したい人
2. ETF(上場投資信託)とは?
▶ETFの基本的な仕組み
ETFは「Exchange Traded Fund」の略で、証券取引所に上場されている投資信託です。株式のようにリアルタイムで売買できることが大きな特徴です。
基本的にはインデックス型運用が中心で、日経平均、TOPIX、S&P500、NASDAQ100などに連動するETFが人気です。
▶ETFの主な特徴
- 株式と同様に証券取引所でリアルタイム取引
- 比較的手数料が安い
- 分配金を受け取ることができる(自動再投資は原則なし)
▶向いている人
- 自分で売買タイミングを選びたい人
- 手数料をなるべく抑えたい人
- 株式投資に慣れている人
3. 投資信託とETFの違いを比較
次の表は投信信託とETFの違いを表した表です。
| 比較項目 | 投資信託 | ETF |
|---|---|---|
| 購入方法 | 証券会社や銀行で注文(1日1回) | 証券取引所でリアルタイム売買 |
| 価格の決まり方 | 基準価額(1日1回算出) | 市場価格で常に変動 |
| 手数料 | 購入時手数料・信託報酬 | 売買手数料・信託報酬 |
| 分配金の扱い | 自動再投資が選べる | 原則受け取り(再投資は自分で) |
| 取引の柔軟性 | 時間を気にせず購入可能 | 相場を見ながら売買できる |
| 最低投資金額 | 数百円〜1万円前後から | 数千円〜(単元株価格による) |
このように、投資信託は自動積立や放置型投資に向いており、ETFはタイミングを見て取引したい人に適しているといえます。
4. 手数料の違いとコスト感
▶投資信託の手数料
- 購入時手数料(販売手数料):0〜3%ほど(ノーロード投信なら無料)
- 信託報酬:年率0.1〜2%程度(アクティブ型は高め)
- 信託財産留保額:解約時にかかる場合あり
▶ETFの手数料
- 売買手数料(取引手数料):証券会社ごとの株式売買手数料に準ずる
- 信託報酬:年率0.05〜0.5%ほど(非常に安い)
- スプレッド(売買の差額):取引価格に含まれるコストとして注意
ETFは手数料が総じて低く、長期保有にも有利ですが、自動積立ができないなどの点ではやや不便さがあります。
5. 税金の違いとNISA・iDeCo対応
▶税金の基本
投資信託・ETFともに、以下の利益に対して約20.315%の税金がかかります。
- 売却益(キャピタルゲイン)
- 分配金(インカムゲイン)
▶NISAとの関係
| 税制制度 | 投資信託 | ETF |
|---|---|---|
| つみたてNISA | ◎(対応商品多数) | ×(原則非対応) |
| 一般NISA | ◎ | ◎ |
| 新NISA(2024年~) | ◎ | ◎ |
※ つみたてNISAは長期・積立・分散投資を目的としており、ETFは対象外です。
▶iDeCoとの関係
- 投資信託は対応(インデックス型・アクティブ型多数)
- ETFはiDeCoでは選べない
6. 投資信託が向いている人
以下のような方は投資信託がおすすめです。
- 投資の知識があまりない初心者
- 毎月決まった金額を自動積立したい
- 長期的に資産形成を目指している
- 手間をかけずに運用したい
- iDeCoやつみたてNISAを利用したい
7. ETFが向いている人
ETFは以下のような人に適しています。
- 株式のように自分で取引したい
- 運用コストを極力抑えたい
- リアルタイムで価格を確認しながら投資したい
- インデックス投資を中心に考えている
- 中級者以上、または経験のある人
8. よくある疑問Q&A
Q1. ETFは初心者には難しい?
A.確かに株式のように板を見ながら売買する必要がありますが、慣れればそれほど難しくありません。指値や成行注文など基本的な操作を覚えれば大丈夫です。
Q2. 投資信託とETF、両方持っても大丈夫?
A.問題ありません。たとえば、積立には投資信託を活用し、相場の調整局面ではETFでスポット投資するなど、目的に応じて使い分けるのもおすすめです。
Q3. どちらのほうがリターンが良い?
A.リターンは商品次第ですが、同じインデックスに連動する投資信託とETFを比較すれば、一般的にコストの安いETFのほうが有利になる傾向があります。
9. まとめ
投資信託とETFは、いずれも分散投資によるリスク低減ができる便利な資産運用ツールです。
- 投資信託は自動積立や初心者向けの商品が多く、長期運用に最適
- ETFはリアルタイム取引が可能で、コストも低いため中上級者向け
どちらにもメリット・デメリットがあるため、自分の投資スタイルや目的に合った商品を選ぶことが大切です。まずは少額からスタートして、投資に慣れていきましょう。


